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③基本編:タイの採用マーケットを知る(日系企業の構造、給与相場、求人動向、採用のトレンド)

Posted by Yu Shimokawa 下川 優

5 months ago

第三章ではさらに一歩踏み込みタイの採用マーケットについてお話していきたいと思います。

在タイ日系企業の組織構造については前回のコラムでお話しましたが、現地化を進めるためタイローカル優秀人材を欧米系企業に負けないほどの給与を出しても採用し始める企業が出てきている一方、いまだ多くの企業は日本人駐在員が社長以下部長クラスまでトップ層をしめており、その下課長クラス以下をタイ人ローカルスタッフを配置しています。

しばしば日系企業のお客様とお話をしている際に聞かれる質問があります。

「タイ人の求職者に日系企業は人気あるの?」

「タイ人の給与相場は?」

「賃金上がってきてるの?」

日本と同じようにタイ、その他東南アジアでも同様に、日系企業は福利厚生やボーナスなどが充実している企業が比較的に多いですが給与相場については欧米系企業に比べると低いのはなんとなく皆さんご存知です。

欧米系企業は職能性で仕事内容をJob Descriptionに落とし込み、担当する仕事の範囲をある程度明確にしてその仕事のできる人/経験のある人を採用し、KPIなど会社の評価基準も明確に持っているため、年齢や勤続年数の長さ、性別などではなく能力のある人が評価され出世していきます。

一方、日系企業は組織構成上部長クラスにはなれるチャンスが現地化にともない出てきていますが、社長になれる可能性は大変低いため、将来的に社長になりたいと思うようなアクレッシブに成長を求めるタイプの人材は日系企業を好みません。

評価に関しても、チームワークを重視するスタイルの企業が多くボーナスに関しても「パフォーマンスに応じて」といいつつ本人の出した結果で出すコミッションではなく、会社がひとつのチームとして出した結果に応じた利益を社員(チームメンバー)と分け合うようような業績賞与の意味合いが強いため、実力で勝負したいセールスパーソンなどは日系企業よりも欧米系企業を希望する傾向にあります。

在タイ日系企業のボーナスに関しては業界によってまちまちで、製造業特に自動車業界は基本給を押さえボーナスの比率が高いこともあり平均で5ヶ月~10ヶ月ほど出る企業もあります。

ボーナス月は12月もしくは1月の企業が多いため、年の後半にはいると転職市場はスローダウンしボーナスをもらってから2月、3月以降に転職を考える方が増えます。ボーナス支払い後の人材流出を防ぐため、ボーナスを2回に分けて支払う企業も増えてきています。

日系人材紹介会社にて日系企業を担当していた際には聞いたこともないような給与オファーを、エンワールドに入ってから欧米系企業を担当しているコンサルタントから聞いたときには大変驚いたことを覚えています。

いまだに、特に欧米系消費財や医療系の企業の部長クラスの給与オファーは日系企業の社長クラス以上の数倍の給与水準です。

日系企業ではダイレクタークラスで月収20万バーツから25万バーツ(約66万円~83万円)。欧米系企業のダイレクタークラスは月収40万~80万バーツ(約130万円~267万円)プレイヤーでも個人の成績に応じたコミッションを収入として得ている方もおり、30歳前後でも月給15万~25万バーツ程度(約50万円~83万円)稼いでいる方もいます。

【在タイ日系大手/中小企業 給与相場(月収)

 

日本から直接タイへこられたばかりのお客様はタイの賃金は安いというイメージを持ってこられますが、タイ進出ブームがおこった2011年~2013年は求人数も最大値を記録し、日本語スピーカーや英語スピーカーで業界経験のあるタイ人求職者へのニーズが集中し売り手市場になったことから過去10年ほどで給与も3割ほど全体的に上昇しました。特に新規設立企業はタイでの知名度や安定性がなく福利厚生をはじめから充実させることもできないため、大手企業よりも基本給を高めに出さなければ採用市場で勝負し、いい人材を獲得することができなかったことも給与上昇の背景でした。

【タイ労働市場の現状(求人数)

タイは失業率が非常に低いことも特徴としてよく取り上げられます。ここ約7年ほどは1%前後を推移しています。※4年連続自動車の販売台数が前年比が下回りラマ9世の崩御で喪に服していることの影響もあり経済が伸び悩んでいるといわれていますが直近のTrading Economicsのリサーチ結果、2017年7月時点で1.2%という大変低い失業率が出ています。(実際にタイは日本ほど戸籍制度がしっかりしておらず社会保障に登録をしていない労働者も多くいるため(タクシーやバイクタクシー、屋台など自営業を営む人々など)どれほど信憑性のある数字といっていいのかわかりませんが・・・)

※出展:NRI (https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/9770.pdf)

【タイ労働市場の現状(失業率)

タイブーム時のようには日系企業の新規立ち上げもほぼないタイですが、引き続き優秀な人材、語学力のある人材は全体的に不足しており引っ張りだこです。欧米系、タイ大手企業と採用マーケットで勝負していかなければなりません。いきなり給与テーブルを全体的に引き上げることはなかなかできないからこそ、給与だけでない日系企業のよいところ、各企業の魅力を会社のマネジメント自身が理解して採用活動を行う際に求職者に伝えられるように準備しておかなければいけないと思います。

お問い合わせ、ご質問などあればいつでもお気軽にお問い合わせください。

下川 ゆう (Yu Shimokawa)