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タイ人材情報 ② 基本編:タイ人を知る(気質、働き方、仕事に対する価値観)-(3)

Posted by Yu Shimokawa 下川 優

7 months ago

タイ人コンサルタントと共にタイ人の求職者を日系企業に紹介する仕事に携わっている9年間の経験からタイ人の気質や働き方、仕事に対する価値観について、またそこから学んだことについて、以下3つのフェーズに分けて書いていきます。

(1) 在タイ日系企業プレイヤー時代: 同僚の立場から学んだこ

(2) タイ独立起業 社長時代: 会社のトップの立場から学んだこ

(3) 在タイ日系企業マネージャー時代(現在): 企業のマネージャーとして上司の立場で学んだこ

今回は第3フェーズ(3) 在タイ日系企業マネージャー時代(現在): 企業のマネージャーとして上司の立場で学んだことお話していきます。

2014年10月末にエンワールドタイランドへ入社し日系チームを立ち上げてからもうすぐ丸3年が経過します。

エンワールドリクルートメントタイランドは前身となったTop Talent Asiaという欧米人がタイ現地にて立ち上げた人材紹介会社を日系企業のエンジャパンの子会社であるエンワールドが買収して2013年にエンワールドグループに入った会社です。タイの代表はオーストラリア人の女性、以下約50名はすべてタイ人という組織でした。お客様の90%以上は欧米系企業もしくはタイローカル大手企業でした。親会社であるエンワールド自体も大変国際色豊かで4割ほどの社員は非日本人という大変インターナショナルな職場環境であるため共通言語は英語、資本は日系でも中身は欧米系企業です。

下川がエンワールドタイランドに入社したときには日系企業のお客様はほぼゼロ、常駐の日本人スタッフもいませんでした。片手ほどの社数のの日系企業とはお付き合いがありましたがタイ人人事とタイ人コンサルタントが直接やり取りを行っていたため日本人独特の採用進め方、仕事の進め方やコミュニケーションについて理解をしているスタッフは社内に誰もいない状況でした。

欧米企業文化 in Thailandに飛び込んで改めて理解したことは、

「当たり前だと思っていた日系企業や日本人の仕事の進め方が日系企業以外では当たり前ではなくなり、理解してもらうことが難しい」ということでした。

タイには日系企業が登記ベースで約9000社ほどあるといわれており、大手企業だけでなく中小企業や現地で日本人が立ち上げたベンチャー企業まで幅広く様々な日系企業があります。

ここ2年、3年ほどで現地化を進める企業も出てきていますが、従来の典型的な在タイ日系企業の組織構造は下記の【図1】のようになっており上層部(部長クラス以上)は日本人駐在員が配置され、それ以下をタイ人ローカル社員が担当するという構造になっていました。

現地代表クラスにタイ人を置く企業はほぼなく、置いていたとしても便宜上の場合がほとんどで実権は日本人駐在員もしくは日本本社が持つ場合です。

【図1

 

典型的な在タイ日系企業に起こる課題】

○ 設立して10年、20年の企業は安定的で上層部のタイ人は長期的に勤務をしている人も多いがそのタイ人部長クラスの定年後の後任が育っていない状態。中途採用しようとするも年功序列の給与体系になっており社内のバランス上給与面で中途採用が難しいケースが多い。

○ 特に製造業は日本人の技術者などの駐在員にタイ人日本語通訳をつけてマネジメントをしており日本語を社内共通言語にしている企業も多くある。タイ法人内は英語で管理ができても本社へのレポート上日本人もしくは流暢な日本語スピーカーをトップ層に配置せざるを得ない。

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下記【図2】のようにここ2年、3年では現地化を進める方針の企業も増えてきており将来の現地社長や役員候補として部長クラスにタイ人を昇格させたり中途採用する企業が増えてきています。

【図2

 

現地化が進んでいるとはいえ、いまだに日系企業の上層部は日本人駐在員が配置されており決定権を持っていることから、日本人同士のコミュニケーションやサービスが求められます。

人材紹介を始めとしたサービス、特にエージェント業に就き日系企業を担当する営業は特に日本人のニーズが高く、日本人同士にしかわからない文化やマナー、仕事の進め方を顧客から求めらます。日本語力がどんなに高くてもタイ人よりも日本人が重宝されています。タイで現地採用の日本人募集は営業職が多くを占めることもこのような背景があるからです。

在タイ日系マーケットでは日本人にしかできない以下のような仕事がたくさんあります。(以下は人材紹介会社にて下川が実際に行っている役割です。)

① 日系企業の組織の構造や仕事の進め方(役割と仕事の責任範囲を明確にせずにチームで助け合って仕事を進める日本人の仕事の進め方)を理解し求人内容をヒアリングしたり、組織の問題について採用という方法を切り口に解決策をお客様と一緒に考えたり、実際に候補者をサーチし事前に面接を行います。人材をご紹介した後、お客様企業と候補者の面接に同席をすることもあります。

② 日系企業のお客様から求人をいただく際には準備されているJob Descriptionがないことも多いため、組織内での問題をお伺いしながら、ざっくりとこういう人がいたらいいのになぁと考えている現地法人の社長様とお話し、Job Descriptionを一緒に作って候補者をサーチしていきます。

③ 駐在員の営業や製造担当で人事の経験のある方は非常に少ないため、採用面接をしたことがない方も多くいます。面接の進め方、特にタイ人を面接する際の留意点を事前にお伝えして企業側に対しても面接対策を行います。

④ アジアでの採用はスピードが非常に速く、特にヘッドハンティングをされるような優秀な人材に関しては複数の企業から声がかかることも多いため、選考に時間がかかりすぎると獲得し損ねてしまいます。採用面接自体も1回2回で最終決定をすることがほとんどです。そのような場合、求職者の転職活動他社状況を確認して選考を急いでいただき企業側と求職者側どちらにもチャンスを逃さないようにタイミングの調整を行います。

⑤ 日系企業の場合、欧米企業と同様に部長職以上の採用については本社やRHQの承認や面接が必要になることも多くあるため、直属の上司になる現地法人の社長様レベルでも最終決定ができないことがあります。現場が採用にOKを出した候補者でも最終的に本社の方向性が変わり採用がなくなるケースもあります。そのような場合は、求職者に状況の説明を行い理解を促します。

⑥ 給与交渉や面接後のフォロー、また入社後も企業側、ご紹介した人材側に何か懸念や問題が起こったときには間にはいりお話し合いなどを行ったり、アドバイスなど行い問題解決のお手伝いをすることもあります。

在日日系企業と同様に、タイでもローカル企業や欧米系企業では人材紹介会社に対して採用における人材のサーチ力とスピードを重視します。しかし、在タイ日系企業では、サーチ力だけでなくサービスとフォローアップの質、組織における問題解決力と、タイ人材のマネジメントについての経験と理解を求められます。

在タイ日系企業のタイ人人事は人事よりも総務に近く、マネージャークラス以上の採用についても最終決定した人材の雇用契約書の作成や入社準備など事務的なことを行っており、戦略的に採用をする方法を考えたり採用の決定をするなどは行っていないことがほとんどです。

下川がエンワールドタイランドに入社し日系チームを立ち上げたとき、日系企業の窓口はすべて下川が行ない社内でタイ人コンサルタントと協業して人材紹介を行っていました。欧米系企業しか担当したことのないコンサルタントからすると、なぜすべてのプロセスを自分たちに任せてくれないのか、下川はタイ人部下を信用していないのか?と捉えたようで大きな反発を受けました。

実際、採用においてもタイ人人事がタイ人コンサルタントと直接やり取りを行うとうまく進まず、日本人同士でプロセスを進めると早く話が進むこともあり、タイ人同士では解決しない問題も多々あったため最終的には下川の役割を理解してもらうことができましたが、当初は面接の結果がうまくいかないのは下川がお客様側の味方をしてコンサルタントを邪魔しているとまで思われたほどでした。

在タイ日系企業の構造上まだまだ採用についてもすべてのプロセスをタイ人だけで決定していくほど決定権をタイ人に渡している企業はすくないため、我々のような日本人の存在意義がまもられているのですが、徐々にタイ人同士でも最終段階までプロセスを進めて日本人ははじめの採用ニーズの掘り起こしとクロージングのみであとはタイ人スタッフに任せられるようになってきました。

今までは日本人駐在員のお客様も英語でやり取りをされることに抵抗があり日本人と日本語でのコミュニケーションを好まれていましたが、ここ2,3年は英語でタイ人と直接やり取りをすることも問題ないとおっしゃるお客様も増えてきました。しかし、契約内容の詰めや、採用面接のフィードバックや給与交渉などの重要な場面ではまだまだ日本人同士のやり取りが必要になります。

今後さらにタイでの現地化が進み、日系企業内でも英語を共通言語としてコミュニケーションを行う企業が増え日系企業のタイ人人事が育てば状況も変わってくると思います。まだまだ時間がかかりそうですに見えますが、徐々に人事や経理財務などバックオフィスにタイ人の優秀人材を欧米系やローカル企業から10万バーツ~20万バーツ程度の給与を出しても思い切って会社の将来のため採用する日系企業も増えており、これから5年間でタイの日系企業の組織がどうかわるかタイの日系企業の展開が楽しみです。

 

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下川 ゆう (Yu Shimokawa)